今回も大谷石造の蔵の地震後の改修工事をお届けします。震災後の蔵の改修工事はすでに4軒目になるでしょうか。
まずはビフォー。
立派なグシの載った瓦屋根ですが、やはり重さが問題。1回の地震でその殆どが落ちてしまいました。全ての瓦を降ろすところから工事はスタートしました。
アフター。
今回はお客様の強いご要望で銅板葺きへと姿を替えました。銅板は(電食の問題と言われていますが)ある種の瓦屋根の下屋(腰葺き等も)に葺かれた場合には腐食により穴が開き、酷い場合は雨漏りを起こします。しかし、今回の様に銅板のみで仕上げられた場合には緑青の状態で安定して、その後穴が開く様なことはありません。それは例えば銅板葺きのお寺の長寿命にも表れます。
一文字葺きです。最近のガルバリウム鋼板屋根では、敢えて一文字にはせずに”追廻”という葺き方にすることで「ロスなく(地球に優しく)、興しろく、飽きない」デザインを心がけていますが、銅板葺きにはやはり伝統の一文字葺きが似合いますね。
厳かに輝く真新しい銅板色ですが、実はこれは貴重な写真で、今後みるみる色が変わります。それは先にも述べた通り緑青の状態まで進みますので、ある意味ではそれが完成した姿なのかもしれません。機会があればその頃(半年~1年後くらいでしょうか)また伺って写真に収めさせていただきたいと思います。
『和モダン』を意識したデザイン上の理由で棟部分を極力シンプルに収めていますが、こうすることで別に棟を取り付けた場合に比べて丈夫にもできます。難易度は少々高くなりますが”名工による近代の銅板葺き屋根の例”として自信を持ってご紹介させていただけます。
屋根をシンプルに仕上げた分、雨樋は少し豪華になっています。ん~・・バランス良いです。
ちなみに、ちょっと前にここでご紹介した大谷石の蔵がこちらの二軒になります。
これで立てハゼ葺き、横葺き、銅板葺きと大まかに3パターンが出揃いました。
どのタイプがお好みですか?
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