那須烏山市A様邸です。東日本大震災で大きな被害を受けた住宅の中には歴史ある古民家も多くあります。例えばこちらのお宅は築100年という大変貴重な住宅で、内装を使いやすくリフォームしたりしながら大切に住まわれています。
震災の影響で屋根瓦は大きく崩れていますが幸い躯体に大きな損傷はみられませんでした。
古民家の耐震性能を向上させたいと思うと、それは容易なことではありません。大壁を作って筋交いを入れるのは大変有効な方法だと思います。また、独立基礎を布基礎やべた基礎に改修して鋼製束を入れて・・・・・
しかしそれらには大変な費用がかかり、また工事期間中の生活の問題などの障害が沢山出てくると思います。さらに、折角行った耐震工事でも地震保険に入ることができなかったりします。(まだ不十分と診断されてしまうケースが多いです。)
そこで吉沢板金のお奨めする方法はちょっと発想を変えて、『屋根を軽くすること』です。
どうして耐震性能を上げるのに上述の筋交いや床下部分の補強をしなければならないかと言うと実はそれらが重たい屋根を支えているからに他なりません。
頭を軽くして(具体的には1/10程度の軽さにします!)重心を低くしてあげることが耐震性能アップには一番効くんです!
もちろん古民家で地震保険などに加入する際にもこの『屋根を軽くしたこと』が生きてきますよ。
100坪もあるお宅ですからね・・・・いつものようにタワーを掛けて・・では間に合わないのでクレーンを持ち込みました。それでも瓦下ろしだけで2日を要しましたが。(汗)
大変珍しい、古民家の瓦が降りた姿。野地板の傷み方がよく分かりますね。木の痩せや僅かな雨漏りの蓄積(瓦でしたのでどうしても多少雨が入るため)で大変割れやすい状態で、もう歩くのが怖いくらいでした。皆ベテランなので然るべき場所を歩くのですがそれでも数人片足を突っ込んでましたね。(笑)
別のアングルから。下の方からは早速、新しい野地板の増し張りが始まっています。
一面に新しい野地板を張るとそこにはもう以前の様なくたびれた姿はなく、丈夫で健康的な良い屋根下地となります。よくこの工事をしない業者があるのですが、これは(今回の様な場合には特に)必要な工事です。後からではできませんし。
ルーフィング(防水紙)を張り上げれば工事期間中お客様が雨漏りに悩む心配は殆どなくなります。
この様にお客様は工事期間中ずっと通常の生活をして頂けるのも特長の一つだと思います。
この後はいよいよ軽量金属屋根の葺き上げ工事へと進みます。(続く)