「屋根が飛んでしまったんです!」ある日のレスキューはこの一本の電話から始まります。この日、宇都宮は風速20m超の強風が吹いていました。
現場に到着すると、道路は封鎖され、電気屋さんに、消防隊、警察、ご近所の方の群がりと物々しい様子。そして中心には困惑した様子の家主さん・・・
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被害状況は、二階部分の屋根のほぼ全損(写真)。二次被害として近くの電線3本を切断ということですが、一塊の屋根材はその後、数十メートル先の民家の庭に落ちたとのことでした。
(翌日の下野新聞にも載りましたのでご存知の方もいらっしゃるかも知れませんね。)
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自動車や何より人間に被害が出なかったのが奇跡的な状況でした。
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消防隊員が回収した屋根の塊です。三晃式瓦棒(写真で掴んでいる部分に心木がないもの。)であるため、ドブ板が分離されず一塊となって飛ばされてしまっています。
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写真はかろうじて残った部分の軒先部分ですが、腐食により「つかみ込み」の部分が切れ、先端が持ち上がる様になっていました。
ここに風が吹き込み屋根を一気に剥がしてしまったのです。
また、本体を吊子止めする際、ビスでなく釘を使用したことも原因ですが、一昔前にはビスでなく釘留めをする人が多かったことを考えるとある程度以上の年式のお宅では注意が必要だと言えると思います。
養生作業
暴風雨が収まって作業が可能になれば、写真の様な養生作業をさせていただけます。ただし、この時点ではまだ本工事は行いません。直ぐにやってもらいたいというお気持ちは十分に分かるのですが・・・。
まずは、やはりお見積もりを作成させて頂いております。(優先的に大至急処理させていただきます。)
逆にそうしない業者さんに後から相場よりかなり高い額を請求されてしまったという人もいますのでこの点はご注意ください。
施工中
お見積りにご納得いただき早速下地の工事を行いました。一部垂木を補強しながら全体に合板を張ることで丈夫な下地が出来ました。
施工中
ルーフィングと瓦棒となる垂木の打ちつけまでが終わった様子です。ここまではスピード勝負です。
合板でしっかり下地を造ったため、立平葺きも選択肢に含まれていましたが、新規垂木で上から合板をサンドウィッチにすることでさらに強度を増すことを狙い、心木有りの瓦棒葺きとしました。参考・縦平葺の例
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瓦棒屋根葺き替え完了!
お客様の喜びもひとしおです。
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完今回の強風では吹き飛ばされはしなかった1階の屋根(下屋)ですが、劣化の度合いは同じように進行していましたので、リフォームを行います。
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1階はカバー工法で行いました。
屋根の解体費用を抑えるためですが、もちろん下地造りは行っています。
※吉沢板金は、メリットを考え、出来る限りカバー工法で行うことをモットーとし、また、日々、施工方法を研究している会社です。
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既存の破風は杉板に塗装をしたものでした。色は褪せ、継ぎ目は水を吸って変形し、釘は浮いてしまっているような状態。補強した上でガルバ板金包みを施工しました。
After
破風に板金包みを施すと、将来のメンテナンスの頻度を劇的に少なくすることができます。
例えば塗装だと5年から7年位に一度、再塗装を必要としますが、ガルバ鋼板板金包みでは20年程度以上のメンテナンスフリーが期待できます。見た目も全く新しい素材が取り付くわけですから、まさに一新。リフレッシュをお考えの方にもお勧めです。
Before
波板(テラス屋根)の工事も同時にご依頼されました。ビフォーでは劣化しきった状態が見て取れます。このような状態ではやはり強風などで吹き飛ばされやすく、事故を招く恐れがあります。
After
ポリカーボネートにUVカットが施してある素材をご提案しました。下にいる人間に対して優しいのはもちろん、素材自体の耐候性も格段に上がります。
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